「………えっ」
お兄ちゃんが黙り込む。
少し頬を赤くした、昨日と同じ表情。
しばらくの沈黙は穏やかな風の音を耳に送り届けた。
あたしの不安だけが、激しく、そこに居座る。
「ったく……」
その均衡を破るようにお兄ちゃんがクスリと吐息を漏らした。
「…ばーか」
夕焼けが照らした、笑顔だった。
「加奈子のこと置いて、俺が恋愛なんかするわけないだろ?
こう見えて、忙しいんだよ俺は」
「お兄ちゃん…」
クスクスと笑ってるお兄ちゃんはすごく楽しそうで…。
「ほら、バカなこと言ってるから頭にゴミがついてるよ」
「下向いて」とお兄ちゃんが手を伸ばしてくる。

