「こんな寒いところじゃまた風邪…って、加奈子?」
真っ赤な目をしている私を見てお兄ちゃんの足が止まる。
「その赤い目……泣いてたのか?」
心配そうな顔。
「お兄ちゃんの目だって、赤いよ?」
「それは元々だろ」
必死の笑顔で冗談を言うと、お兄ちゃんの表情が少し緩んだ。
「あのね…お兄ちゃん」
言いかけて、持っていたお兄ちゃんの財布を渡す。
「あ…そういえば忘れてたな」
財布を受け取って微笑むお兄ちゃんの顔。
少し前に受付で見たような表情。
あたしは大きく息を吸って、お兄ちゃんを見上げた。
「莉子さんのこと…好きなの?」

