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「お兄ちゃんーっ!会いたかったよー!」


「おいっ、加奈子っ」


待ちきれずに、コートを掛けるお兄ちゃんの背中に抱きつく。


「まったく…。昨日会ったばかりだろ?」


ため息をついて、振り返る。


最近見せてくれるようになった、あの笑顔だ。


「だって、お兄ちゃんが来てくれるのがうれしいんだもんっ!」


「…ありがとう。だけど風邪引くから、ちゃんとベット入ってろ」


そう言ってお兄ちゃんが持っていたコートをかけてくれた。


「あったかい…っ」


襟のところをぎゅっと掴むと、お兄ちゃんの匂いがする。


…加奈子の1番好きな匂い。