一瞬の出来事だった。 強い力で体が地面に押し倒される。 狙いがはずれた弾が俺のすぐ横をかすめていった。 「…ヒクッ…うぅ…ッ…」 「り………こ………」 幻なんかじゃない… 名前を呼ぶと、莉子は俺にきつく抱きついてきた。 覆い被さって、莉子の髪が首元に触れる。 小さな肩は、震えていた。 「なんで…」 消え入りそうな声でやっと問いかける。 「…なんで戻ってきたんだよ」 「死んじゃだめ…」 莉子は泣きながらそう繰り返した。 幸せになってほしくて、 逃がしたのに…