みんなの笑顔が温かい。


「ありがとうございます…」


ベットから起き上がると、そこは病室だった。


記憶は屋上から飛び降りたところまでしかない。


見つめる先の手のひらは、自分の意志通りに動いた。


あたし…生きてる。


助かったんだ…


でも…


「……」


もの凄い違和感を感じる。


儚く、何かが消えてしまいそうな…


そんな胸騒ぎ。


「あの…、ユキは?」


「………っ」


あたしの言葉に、みんなの表情が一気に暗くなる。


「……ユキは今、別の部屋にいるよ」


「……え」


……ユキ?


「連れてってください!!」


思わず立ち上がる。


「莉子ちゃんっ落ち着いて…まだ本調子じゃないんだから…」


「今すぐユキの所に連れてってください。お願いします」


もう、涙が止まらなかった。


早く…


早くユキに会いたい。


「わかったよ」


マスターがうつむいた。