「今、莉子を守れるのはお前だけだ」
────・・・
SIDE莉子
手を引かれた瞬間、
「雪夜ー!!!!行けー!!!!」
隼人が叫んだ。
…はや…と…?
一瞬、時が止まったように、ただ涙が零れ落ちた。
でも確かめる暇はない。
あたしの手を引いて走り出す、
一切振りかえらない
「ユキ……っ」
ただ必死に、遠くへ走っていく。
「……はぁっはぁ…っ」
ユキの苦しそうな息遣いが聞こえた。
血が滲むシャツは真っ赤に染まっている。
"俺が合図を出したらすぐに、お前は莉子を連れて逃げろ"
「お、追いかけろっ!!!」
「は、はいっ」
パパの言葉を合図に、黒虎の男達が向かってくる。

