「まず…そいつが藤堂遼(トウドウリョウ)だ」
マスターが指さす方向にはさっきからいたずらな笑みを浮かべる焦げ茶の髪の男の子。
女の子顔負けの可愛い顔をした藤堂君は子犬のようだ。
「よろしくね~、莉子ちゃん」
「よろしくお願いしま…ひゃ//」
何の変哲もなく抱きついてくる藤堂君。
人懐っこすぎるよっ!!
あたしの心臓はこんなにバクンバクンと鳴り響いているというのに…。
「こら、遼っ!抜けがけすんなよっ」
少しだけこもるような声とともに後ろに手を引かれる。
「わ…わわわ//」
バランスを崩したあたしはまた別な男の人に向かって倒れこんだ。
「おっと、危ない子猫ちゃんだね♪」

