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「ユキ君…ユキ君っ!!」


耳元できゃんきゃん響く子犬のような声。


「ユキ君ってば」


うるせぇ…


まだ全然寝てないって言うのに。少しくらい寝かせろよ…


「もう…ユキ君!!」


とどめの一撃のような大声と共に強く肩を叩かれた。


「…んだよっ」


「さっきから電話鳴ってるよ」


手渡されるままに携帯電話を取る。


寝ぼけた視界には心配そうな顔をした莉子が見えた。


ったく…なんだよ…


そう思って電話を取ると画面に表示されていた名前は…


"加奈子"


…え


一気に意識が覚醒して心臓がドクンと脈打った。