"ありがとな" 去り際にユキ君はあたしの頭に軽く手を置いていった。 そのときの声が優しくて… また一人でいってしまうんだね… 遠ざかっていく背中は涙でかすんでしまった。 ユキ君 ユキ君… ユキ君っ…… 何度も何度も心の中で名前を呼ぶのに… 現実ではただ泣き崩れるだけのあたしがいたんだ。 「ひく…うぅ…」 "苦しいよ" なんてあたしに言う資格はないですか。 でも…真っ暗で苦しくて一人ぼっちで… ユキ君は今… 「莉子」