具合が悪そうな青ざめた顔。


最近のユキ君は尋常じゃない。


「ちょっと疲れてるだけだ」


「それなら少しくらい、自分の体大事にしてよっ」


「それは…」


そう言いかけてユキ君は唇を噛む。


そして、あたしの体に回した腕に力をこめて強く抱きしめた。


「…ごめん」


あたしの肩に顔をうずめたままかすれた声でそう言った。


「俺は今の生活をやめることはできない」


「どうして…」


こんなにボロボロになってまで、なんで働かなきゃいけないの。


あたしの勝手な押し付けの意見だってわかってるけど…


でも……。


「俺には働かなきゃいけない理由がある」


けれどもユキ君はきっぱりとそれだけを言い放った。


「だから…ごめん。俺は大丈夫だから」


ユキ君は立ち上がる。


そして早足であたしの横を通り過ぎていった。