本当に、触れたか触れてないか、わから
ないくらい、一瞬。
だけど。
それだけでも。──たった、それだけだ
けど。
「……っ!?」
私は、ボボボって、ゆで上がったタコみ
たいに赤くなった。
触れた唇が熱くて、だけど甘くて。
ほんの一瞬の出来事だったのに、やけに
柔らかい光弥の唇が、記憶に残っていて
。
そんな私を見た光弥は、意地悪っぽく、
どこか楽しそうに口の端を上げて笑う。
人が恥ずかしがってるのを見て笑うなん
て、本当に酷い。
でもそれもカッコいいから、なんだか。
どうしても、ちょっと悔しい。
まあ、いいか。なんて光弥に甘くなっち
ゃう私が居るから。
光弥もそれがわかっててやってるんだか
ら、タチが悪い。


