まるで世界中の時間が止まってしまった かのように。 私は、瞬き一つ出来なくて。 朝田君の体温とか熱とか、匂いとかを。 直に感じている、自分の肌と。 思考が、それに伴っていけなくなってし まって。 耳朶を掠めて、鼓膜を震わすのは苦しそ うな朝田君の息遣いと さわさわと風が木の葉を揺らすような音 だけで。 朝田君に抱き締められているんだって理 解するのに、時間がかかった。 理解しても、その理由はわからなかった 。