初めから準備してあった浴槽に入浴剤を 投入し、ゆったりとお風呂に浸かって居 るとき。 ふと、曇りガラスの向こう側に、人影を 見つけた。 ゆらゆら揺らめく、黒い影。 それでもわかってしまう、引き締まった そのシルエットに、ごくり、と生唾を飲 み込んだ。 それでなくても、この家に今居るのは、 私と───……。 まさか…。ううん、でも、それしかあり 得ない。 「こっ…光弥……?」 やけに静かな浴槽に、そんな戸惑ったよ うな私の声だけが妙に反響して。