分かってほしかった。


「仕事でしょ?行っていいよ…」



突然笑顔になった奏未に、何も言えなかった。




…分からないとでも思ってるのか?


いきなり笑って、

俺に気を遣って…



家を出ていくつもりなんだろ。





そんなことをさせるわけない。




「奏未」


「……うん?」



涙を溜めた瞳を真っ直ぐ見た。



「俺が会社に行ったら、お前…」
「ご飯作っておくね、夜ご飯」