夕飯食って、麻耶が帰ってから。



父さんが言った。


「お前は麻耶ちゃんが好きなんだな」



「…はぁ?」


「頑張れ。
じゃないと先にとられるぞ」


一番の敵は父さんなんだけど。



まぁ、それは言わなくていいや。



なんでバレたんだ?


自然に麻耶を目で追ってたか…?



「言っとくけど、父さんは何も言うなよ」



「言わないよ。
まぁ、奏未に問いただされたらポロッと言っちゃうかもだけどな」



「どんだけ母さん好きなんだよ。
もういい年じゃねぇの」



「年なんか関係ねぇよ。
日向も、麻耶ちゃんとそうなればいいな」



…何だよそれ。
大人の余裕か…?



風呂に浸かりながら、
そんなことを考えていた。




麻耶が今、父さんが好きでも。



俺にあきらめる気なんてさらさらねぇ。



昔からずっと好きだった。



でも、昔から一緒にいすぎるせいで、


どう気持ちを伝えればいいかなんて、考えられない。





どうせ、明日もいつもと変わらない。




自分から動く勇気が欲しい。



「日向ー?いつまで入ってるの?のぼせるよー」


「今出る」