17時。 仕事も終盤に差し掛かった頃。 携帯のバイブが鳴った。 …奏未? 「はい」 いつものような、 柔らかい声が耳元から聞こえることはなかった。 『愛沢です。…同級生の』 愛沢…? 「これ、妻の携帯…」 『奏未、傷口開いて出血酷いので、俺が病院に連れていきますので』 「は?」 『今もうタクシーで向かってます。俺、一応診察も付き添ってますから。 場所は―――――――』