「わたし、西原部長の下で働いている、安斎です」 「……」 白々しく、奏未に向かって挨拶をした安斎。 奏未は怖がっているのか、ポケットの中で俺の手をぎゅっと握った。 「奏未。大丈夫だから」 「うん…」 言葉だけじゃだめだ。 でもまずは、安斎を… 「部長、てっきりもう別れたんだと思ってました。 言ってましたよね、家族なんかより仕事が大事だと」 ペラペラと嘘を組み立てる安斎。