花の香りに導かれるように、ふらふら歩いて行けば、一面真っ白な開けた場所に出た。



月が近い。



空の上にある月には、永遠に届かないものだと思っていた。



月光に照された白い花。



「きれい……」



思わず花に手をのばしかけた時――



「何をしている」



凛とした透き通った声が辺りに響き渡る。