「四月朔日君、久しぶり」

俺は五十嵐のいる廃ビルに入った。ボロボロで空調設備なんかない廃ビルだが、何故か外よりも涼しく感じた。

五十嵐曰く、多くの妖怪の妖気が集まっているせいで、普通の人間には外よりも涼しく感じるらしい。

「よぉ、五十嵐。久しぶりだな」

袴姿の五十嵐は、頬にうっすらと汗を浮かべていた。やっぱり夏だから暑いのだろう。俺は自動販売機で買ったスポーツドリンクを渡した。


「ありがとう。ここじゃ妖怪たちが集まってるから…奥に行くか」


五十嵐が颯爽と廃ビルの奥へと歩く。


俺は急いで五十嵐の後を追った。