私の中で
この間のトモとの甘い記憶が蘇る
私の上で快感に顔を歪ませていたトモ
『しねーよ』と言ったトモ

私は、号泣した
こんなにトモの前で泣いたのは初めてだった
今までずっと感情を抑えて付き合ってきたけどもう、無理だった

トモが私以外の他の女と・・・

やっぱり信じられない
トモが何と言おうと
私には言い訳にしか聞こえない

私が泣き続けるのを
トモは黙って隣に座ってずっと見ていた
時々顔を上げて、トモの顔を見るたびに
止まりかけた涙がまた溢れて
なかなか泣くことを辞めることができなかった

トモが
私の大好きなトモが
誰か他の人を愛したなんて

私のトモだったのに!!

私は怒りと哀しみと何故か諦めの混じりあったような気持ちの中で
少しずつ涙が枯れていくのを感じていた

そして、立ち上がった

「帰るね」

もう、遅い
明日は仕事だし、
ずっとここにいるわけにはいかない

やっと、
自分から落ち着いた声が出た

もう大人だもん
私だって

それに
こんなトモは嫌だ
一緒にいたくない

これが『冷める』っていう事か
トモに対して感じたのは
初めてだよ

改札を入ると、終電ギリギリだった

電車に乗り込んでから私達はずっと無言だった

私、今酷い顔してるんだろうな

次でトモが降りる駅という所で

「送って行こうか」

小さな声でトモが言った

「いい。大丈夫」

私は顔も見ずに答えた

電車が駅について
トモが立ち上がった

「連絡するから」

私は何も言わなかった

何も話したくなかった