バスルームから出ると予想通りベッドからは寝息が聞こえていた

そっとベッドに乗ってトモの綺麗な寝顔を見つめる

長い睫毛とか形のいい口元とか

付き合った頃から未だに私の気持ちは変わらずに
この人が好きで好きでたまらない

いつも期待を裏切られてばかりだけど
別れようなんて思った事すらなかった

コロンとトモの隣に寝転んで
そっと手を繋いでみた

その手から熟睡しているトモの熱い体温を感じながら
私もいつのまにか眠りに落ちていった

翌朝はちょっと遅めにチェックアウトをして海の見えるイタリアンレストランでランチを食べた

二人でゆったり食事している最中
突然トモの携帯が鳴り出した

「悪い、ちょっとごめん」

トモは携帯を片手にお店の入り口の方まで行ってしまった

しばらくして戻ってくると

「夕方、お得意様のヘアセットが入って、もう少ししたら店に行かないといけなくなった」

と、言った

「えぇ!それってどうしてもトモじゃなきゃダメなの?」

今日はこれから私の部屋のインテリアを見に行く予定だったのに

「俺のお得意様だから、俺じゃなきゃダメなの。ごめんな」

信じられない
また裏切られた気分だった

それから会話も途切れ途切れで
美味しかった食事も味が分からない状態
で終わり
私達は店を出た

トモの店と私の家に向かう電車は違ったので
私達はそのまま駅で別れた

私は突然放り出された最悪の気分で
一人家へと帰った