それをひたすら食べながら、リクちゃんが今、音楽の専門学校に通いつつ
ティッシュ配りやカラオケ屋とか色んなバイトをしている事
来年卒業する頃には、バンドでプロデビューしたいと思っている事なんかを、フンフンと聞かせてもらった

私には全然関係ないよく分からない世界だったけど、休みの前夜のヒマ潰しには調度いい話題だった
それにリクちゃんは面白く話すので私は一度も退屈しなかった

2人ともLサイズをペロッと平らげ、食後のデザートも食べて気がつくとあっと言う間に23時になるところだった

そろそろ帰ろうかということで、私が自分の分を払おうとするとリクちゃんが必死で止めてきた

「つぐみちゃん、誘ったのは俺だし、ごちそうさせて!」

それはそうだけど、さすがに学生さんに出させるわけにもいかないしなあと思った
でも、リクちゃんは頑ななので

「ありがとー。じゃあ次は私におごらせてね」

と言うとビックリしたような顔をした

変なの、と思いながら駅まで並んで歩いている間、リクちゃんはめずらしく無言になってしまった