舞い散る花の導く先に

微かなもの音が聞こえて目を覚ます。

顔を上げると僕がかけてあげた小袖を羽織月を見上げている呉羽ちゃんがいた。

ああ、かぐや姫みたいだ。

竹取物語に出てくる美しい少女。かぐや姫。

あの物語の最後は皆に惜しまれつつ天へ帰ってしまった。

君もいつか、どこかへ行ってしまうんだろうか?

そんなことを考えていると無意識に呉羽ちゃんの手を掴んでいた。

呉「沖田さん。目が覚めたのですか?」

穏やかに微笑む呉羽ちゃん。

だけど、その微笑みはいつもよりも艶やかだ。

沖「君は、もしかして濃姫?」

驚いたような表情の後にまた緩やかに微笑む。

呉「ええ、今は濃姫ですわ。よくお気づきになられましたね」

沖「なんだかいつもと感じが違うからね」

呉「ふふ。沖田さんは呉羽をよくみているのですわね」

沖「別にそんなことないけど?」

そういうと楽しそうに声を立てて笑い始める濃姫。