舞い散る花の導く先に

一本の見事な桜の前に来ると沖田さんは座る。

私は手を惹かれたまま立っていた。

沖「ねえ呉羽ちゃん?さっき一緒にいた男の人は誰?」

唐突に尋ねられておもわず目を見開く。

呉「み、見てたんですか?」

沖「うん。もしかして、恋人とか?」

呉「恋人・・・・」

信長様は夫だったが現世では違う。

元夫というべきなのか。それともそのまま信長様というべきか。

すると沖田さんは私の困ったかおを見て楽しげな表情を浮かべる。

沖「別にいいたくないならいいよ?桜の下で密会なんて風情があっていいなって思っただけだから。」

そういって立ち上がり私の手をぱっとはなす。

急に沖田さんのぬくもりがなくなり不安になる。

なんでこんな気持ちになるんだろう。

それじゃあ戻ろうかといい沖田さんは歩き出す。

私はどうしたらいいかわからず沖田さんの着物の裾を掴む。

その行動に驚き振りかえる。

呉「あ、あの、さっきの男性は・・・・」