土「予定変更だ。総司、次はお前がいけ。」

沖「もう僕の出番ですか?早いなあ。まだなんの準備もしてないのに」

そう言って沖田さんは私の前に来る。

沖「言っとくけど、僕は平助みたいに簡単にはやられないよ?」

「はじめっ!!!」

土方さんの声がした瞬間沖田さんは私に全力で切りかかってくる。

呉「くっ!!」

私はなんとかそれを受け止める。

痛いほどの殺気を沖田さんは私に向ける。

きっと、この人は今本気で私に向かっているのだろう。

いつ以来だろう?

こんなに緊迫した相手と剣を交わらせるのは。

ああ、信長様と稽古して以来ね。

私の体に懐かしい感覚がよみがえる。

あの方はいざと言うときのために私に剣を教えてくれていた。

そう、天下人の妻に将来なるべき正室はいつどのような場面に出くわしかねないから、と。

“お濃は身が軽いゆえ、その軽業を生かせば天下一の剣豪になるやもしれんのう”

“ふふ。信長様。それはほめすぎです。”

過去の記憶がふっとよみがえる。

そうだ、私は身が軽いんだ。