「少し、俺と縁側で話さねえか?」

「え?」

「いや、お前が月を見ていたそうだったからよ。俺と話してたらもし山南さんとかに見つかっても俺のせいにできるだろう?」

「でも、それだと原田さんが・・・・」

私が声を発すると驚いたようにこちらを見つめる。

「お前、俺の名前知ってたのか?」

「あ、土方さんが呼んでいるのを聞いていたので・・・・」

するとすっと目を細めて嬉しそうな顔をする。

「お前は記憶力がいいんだな。」

「い、いえ・・・・」

ほめられて少し照れてしまう。

そして私は原田さんのお言葉に甘えて一緒に縁側で初夏のお月見をする。

「それにしても、お前は強いんだな?」

「え?」

「こんな状況でも決して泣かねえじゃねえか。みんな驚いているんだぜ?」

「全然強くないですよ?ただ・・・・」

「ただなんだ?」

「泣いても状況は変わりません。私がしなければいけないことは、泣くことではなく強く生きることだと思ったんです。」

そうつぶやく彼女の横顔は月に照らされてとても綺麗だった。