「それでなんだが、呉羽、お前剣はできるか?」

「剣ですか?少しならできますけど・・・・」

「それなら、明日の朝一緒に稽古に参加しねえか?」

稽古という言葉にぴくりと体が反応する。

久しぶりに、剣を振るうことができるのだ。

正直いってうれしい。

「嫌だったか?」

原田さんが少し困った顔で私を見る。

この人は本当に面倒見のいい人なのだろう。

だから、こんなにも私を気にかけてくれるのだろう。

「いえ、是非とも参加させてください!」

自分でも驚くほど明るい声が出た。

「そうか!!じゃあ、朝迎えにくるからよ、着替えて待っててくれよ?」

「はい。」

私はこくんと頷く。

そして原田さんの背後に浮かぶ大きな満月に目を配る。

久しぶりに見る月はとてもきれいだった。

すると私の視線に気づいたのか原田さんも振り返る。

「ん?なんだ?」

「あ、いえ・・・・」

「ああ、満月か。お前は夜は自由に動けないから月を見るのは久しぶりなんだもんな。」

すこし考えたような瞳になる。