舞い散る花の導く先に

するとそっと私の頭をなでる信長様。

その行動の意図が理解できず困惑する。

信「のうお濃、わしがなぜおぬしを帰蝶と呼ばずお濃と呼ぶかわかるか?」

濃「え、いいえ・・・」

信「帰蝶と呼ぶとその名の通り蝶のようにどこかにいってしまうかもしれぬとおもったからじゃよ。」

濃「え?」

信「確かにわしは吉乃を愛しておった。だけど、それ以上におぬしをあいしていたのじゃよ」

濃「っ!!」

その言葉に涙があふれる。

信「子がおらずとも、側室が居ようともわしにとってお濃は特別な存在にはかわりない。この答えでは満足できぬか?」

またおどけたように微笑む信長様。

お濃はその言葉が聞けただけで十分でございます。

もう、この先吉乃様に対して嫉妬したり、時にねたんで悲しむことはないだろう。

だって、貴方様にもう十分すぎるほどの思いをいただいたから。

信「さあ、そろそろ別れの時間じゃな」

濃「ええ、そうでございますね。あまり体を借りていると本人の意思が戻れなくなってしまいますものね。」

するとそっと私の瞳を覗き込む。

信「おぬしとまたあえてわしは幸せじゃ。お濃。現世では傍にはおれぬが幸せになるのじゃぞ?」

濃「はい、・・・・信長様・・・・」