色々と変な汗をかきながら、ギュっと目を閉じ耐えていると、痛みが和らぎ、彼女の唇が離れていった。


「血は粗方止まった。
肩はしばらく時間がかかるが、じきに元に戻ろう。
養生するがよい。」


「…ありがと。」


仰向けに横たわる躰を起こそうとしてみたが、痛みと倦怠感で力が入らない。

景時は辺りの様子を横目で確認した。

廃工場には、オニどころか闇の気配すら既にない。
さっきまでの激しい殺し合いの名残は、引き裂かれボロボロになったロンTやジーンズ、それ以上にボロボロになっていそうな景時の躰と、数十体の動物の死骸…『闇』の抜け殻だけ。