「生きる」ということ

「・・宮根さん。宮根文さんどうぞー」とニコニコの笑顔で病室に入ってきて、私を呼ぶ、看護婦さん。
この人たちは、どうしてこんなにも笑顔なのだろうか?
私は、こんなにも苦しんでいるというのに・・・。

私だけじゃない。
きっと、世界中には私のような絶望的なことになった人たちは何千万。
いや、何億といるだろう。
それなのに、どうしてこんなにいつも笑っていられるのだろうか?
私はこの時、この人たちの気持ちが理解できずにいた。

そして、私は言われるがままに、ベットから降りて看護婦さんが用意してくれていた車椅子に乗った。
車椅子なんていらないのに・・・。と心で思うが今は言う気力すらなくなっていた。
そして、大きな丸い円にあるベットへ誘導され、ウィーンと大きな音を立てて、回りだした。
普通なら怖いとか思うだろう。
だけど、全然怖いとは思わなかった。
今の私には、「死ぬ」ということのほうが何十倍も怖かったのだから・・・。

それから、いくつもの検査をして、やっと自分の病室に戻ったのが、お昼の12時を回る頃だった。
すると、トントン ガラガラとドアを開ける音がした。
そこには、私の人生を180度かえた発言をした先生が立っていた。
先生は何も悪くないけれど、私は先生を恨んでいた。
自分でもこんな自分が嫌だった。
しばらくして先生が口を開いた。
「検査の結果は来週にでるので、来週にいらしてください。今日はもう、退院なさって結構ですよ。お大事に。」とあっさり言われてしまった。
私は、そこらじゅうの私物を集めてバックにつめ、お母さんと一緒にタクシーに乗った。
タクシーで移動中に真っ白だった私の頭には、ふと、あの男子の顔がよぎった。
そのとき、私は、ただのまぐれだろう。で済ませてしまってた。