控え室につくとスタッフと早乙女サンが待ち構えていた。
「遅いですよっ」
早乙女さんが急かすように怒ってくる。
それと同時に、隣の彼女は腰から折れるように頭を下げた。
「ご迷惑おかけして申し訳ありません!」
そのおかげで、彼にも彼女の赤い痕が分かってしまったようで、驚いた視線をオレに向けてきた。
ただ黙って首を横に振るしかできなかった。
控え室には先ほどのデザイナーの女性も待ち構えており、スタッフから彼女が着る衣装を受け取っていた。
「もう時間がないわ、やるわよ」
キラリと光るように彼女を見つめていて、それに応えるように、彼女もまた力強く頷いた。
彼女がオレに背広を渡すと、デザイナーが思わず声を上げていた。
「あなた、この怪我どうしたの?」
それで気づいたのか、彼女は両腕で自分の体を隠すように抱きしめた。
「な、なんでもないです」
痛々しい、その姿。
もっと早く気づいてあげられていれば……。
そんな無駄なやるせなさが、無性にこみ上げてきた。
「もう、やめろよ」
オレの言葉に、控え室では会場から漏れる音楽のみが流れた。
「あ、葵には関係ないでしょ!」
彼女はプンと背を向けてカーテンを開く。
「あんな目にあって、まだいうのかよ!」
「うっさいわね!あたしだって生半可な覚悟じゃないのよ!」
今にも“いつも”のようにバトルが始りそうだった。
だけど、これは“いつも”なんかより、意味が違う。
「遅いですよっ」
早乙女さんが急かすように怒ってくる。
それと同時に、隣の彼女は腰から折れるように頭を下げた。
「ご迷惑おかけして申し訳ありません!」
そのおかげで、彼にも彼女の赤い痕が分かってしまったようで、驚いた視線をオレに向けてきた。
ただ黙って首を横に振るしかできなかった。
控え室には先ほどのデザイナーの女性も待ち構えており、スタッフから彼女が着る衣装を受け取っていた。
「もう時間がないわ、やるわよ」
キラリと光るように彼女を見つめていて、それに応えるように、彼女もまた力強く頷いた。
彼女がオレに背広を渡すと、デザイナーが思わず声を上げていた。
「あなた、この怪我どうしたの?」
それで気づいたのか、彼女は両腕で自分の体を隠すように抱きしめた。
「な、なんでもないです」
痛々しい、その姿。
もっと早く気づいてあげられていれば……。
そんな無駄なやるせなさが、無性にこみ上げてきた。
「もう、やめろよ」
オレの言葉に、控え室では会場から漏れる音楽のみが流れた。
「あ、葵には関係ないでしょ!」
彼女はプンと背を向けてカーテンを開く。
「あんな目にあって、まだいうのかよ!」
「うっさいわね!あたしだって生半可な覚悟じゃないのよ!」
今にも“いつも”のようにバトルが始りそうだった。
だけど、これは“いつも”なんかより、意味が違う。