思わず照れくさくてしゃがみこみ、都から視線を外してしまった。

あまり顔を見られないように膝に乗っけた二の腕に埋めるようにしたけれど、多分赤くなった顔は隠しきれてなかったと思う。



「キライじゃ、ない……かなぁ〜…」




 なんだろう、このムズムズするようなこそばゆいキモチは。

やっぱりこういったことを口にするのは慣れないもんで、なんとなく逃げるように言ってしまったけれど。


「……そっか…」


 そんなオレの答えでも都は納得したようだった。

そして今までにないくらいほど笑ってきた。


「ありがとう」

 あの鋭い視線をもつ小生意気な瞳はどこかへ、ただただ満足そうな笑顔がそこにはあった。

そしてそのまま背を向けて走り去る。

「じゃあね、バイバイ!」

 背中越しだったけれど、とても嬉しそうな声音に少し安心した。






 ───それにしても。


「オレってば、なんでヘンなコト言っちゃったんだろおおおっ」


 もっと言い方があったのではないか、とか。

 きちんと説明すればよかった、とか。


数々の対応方法があったと思うのに。



「だ、誰もいなくてよかった……」



 両手で真っ赤な顔を隠し、呟いていた。


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