「………はっ?」

 オレは思わずすっとんきょうな声が出ていた。

何を言い出すんだ、この子は。


「い、いいからっ!……ちゃんと、答えて」

 もじもじと睫を伏せて視線をそらすいじらしい都に、ふと気づく。


 この反応は、もしかするともしかしなくともない。

いやいやいや!だけど相手は彼女以上にコドモであって、さすがにオレも許容範囲外。


かといって、無碍にするのもどうかとおもう。


 コドモだって、それなりに真剣に考えて悩んで、傷ついているのだ。

それは彼女からヒシヒシと伝わるし、劇を通してオレも痛感したところだ。


「あぁ~……」

 なんて答えたらいいのだろうか。

実際、オレにとって彼女は大切なお客の妹である。


それをどうしてか、遊園地に付き合わされたり、ショーを手伝わされたり、旅行の引率になってしまったりしてる。

危なっかしいことばかりするから目が離せないし。

突拍子もないことばかり言うもんだから見ててやらないと、とは思ってるわけで。


 ひたすら悩むオレに対し、都はただ待っていた。

腕を身体の後ろに回し、俯いたまま動かない。


 その様子はいたってコドモなのだけど、それなりに覚悟もあるみたいで。


「ふう……」

 オレはヤケに緊張していた。

バクバク心臓が鳴り、やっぱりこのときのオレはどうかしていたと思う。


 それでもオレが答えることによって、都になにかキッカケが出来るのか。



「…き……」


 強がって涙を隠し、気丈に振る舞い弱音を押し殺す、彼女。

 笑うときはトコトン笑い、怒るときは噴火するように怒る。



 そんな彼女を──