「お客さん、早くしてくださいよ？」

　運転手さんに急かされてしまい、オトメくんには申し訳ないけど押し込むようにバスに乗る。

席に着いたオトメくんは、一目散に窓を開いて上半身を投げ出した。

少年に寄り添うようにたたずむ少女を、一心に見つめて。


　エンジンが別れを告げるサイン。

オレも彼女も、言葉すらでなかった。


　そんな中で、少しだけ笑ったオトメくんが口を開いた。


「瑠璃さん……っ！絶対に、また会いにきます！」


　それは少し寂しそうに。


　当の少女の顔はうっすらとしかみえなかったけれど……


でも、最後に見せた笑顔は、ほかの誰でもない少女のもの。



精一杯手を振るオトメくんはいつまでも窓際にはりついて、最後の最後まで少女の姿を追いかけていた。









　一行が走るバスは、真っ青な空に。


……―そう、瑠璃色に包まれていた。



【to be continued…】