薄い浴衣の生地は、いつもの制服より何倍もリアルに感じる。

またしても、鼓動を感じるには近すぎる彼女の温かいふくらみをたしなんでしまっていたのだ。



「ま、待て!誤解だ……っ!!」


 確かに転んだオレが悪い。

だが、彼女を起き上がらせようとしたときにおきたハプニングだ。



 その辺をよーく理解してほしい。



 ……―が。



「冗談もいい加減に……」


 顔を真っ赤にしているのは、別に照れているわけじゃない。

完璧にマウントポジションをとっている彼女から逃れる術はない。


 キッと鬼が彼女に宿ると、例のごとくどこからか取り出したハリセンがびゅんとしなる。



「わ、悪かったってばぁぁぁああ!!」


 オレの精一杯の罪滅ぼしすら、報われない。


「しろぉぉぉおおっ!!」

 スパァァァァアアアンッ!!



 痛ましいオレの悲鳴と爽快なハリセンが奏でるデュエットは……



はた迷惑な23時に鳴り響いたのだった。