理想恋愛屋

 聞き返したオレに、さも当然のように。


「ああ、霊媒の」


 ……れ、れれ、霊媒って…。


 血の気が引いていくのが分かる。

眩暈すら覚えたオレに、怪しく笑うのは原因の少女。


「安心しろ。神崎家は、彷徨う霊魂に体を貸して成仏させることを目的としている」


 ナニに安心していいのか、オレにはさっぱり理解不能。

しかし、重症患者はもう一人。


「じゃあ……僕は、一体誰を……」


 震えるようなオトメくんに、ああ、と思い出したように怪しげに笑う。


寄り添っていた少年まで可笑しそうに、口元を両手で押さえている。




「お前は地縛霊に恋したんだったな」




 プツ、なにかがはち切れたようにオトメくんの体が崩れる。



「オトメくんっ!?」


 決して軽くはないその体を、慌ててオレは抱きとめた。