パシィィイインッ!!
案の定、乾いた音が木々を駆け抜けて、オトメくんの頬には一足はやい紅葉。
「しっかりなさい、早乙女龍之介っ!!」
彼女の鋭い視線に、オトメくんの瞳も次第に冷静になっていくのが遠目でもわかった。
「…は、遥姫さん…」
ようやく我に返ったオトメくんは、オレたちを見比べた。
それと同時に、力ない白い腕がピクリと動いた。
「龍、さま……?」
かすかに聞こえた少女の声に、すぐに踏み出した足の向きを変え、彼女たちのもとへと戻る。
うっすらと瞼を押し上げた少女は、オトメくんにむかってふっと笑いかけた。
「そんな顔をしないで……?貴方とお会いできて、本当に嬉しかったの」
細い指を、今にも震えだしそうなオトメくんの頬に滑らせる。
「…な、なにいってるんですか!」
思わず詰まった言葉。
怒鳴るように叫んでしまっていたオレに、少女は寂しげに困っていた。
かすかに動いた唇。
オレには「だいじょうぶ」と、言っているように見えたけれど……。
「わかったから、少し待って…!」
浴衣の裾を探る彼女の腕を、少女が遮る。
驚いた彼女に、少女はゆっくり首を横に振った。
「最後に…雪がみたかったなぁ……」
すでに半開きの瞳は、どこか遠くへと向けられていた。
どうにかできないのだろうか。
そんな歯がゆさが、オトメくんの背中からも感じられていた。
冷たいくらいの風は彼女をさらってしまうかのように、沈黙を呼び起こす。
だけど抗うように、突き破るのはやっぱり彼女。
「叶えてあげるわ」
案の定、乾いた音が木々を駆け抜けて、オトメくんの頬には一足はやい紅葉。
「しっかりなさい、早乙女龍之介っ!!」
彼女の鋭い視線に、オトメくんの瞳も次第に冷静になっていくのが遠目でもわかった。
「…は、遥姫さん…」
ようやく我に返ったオトメくんは、オレたちを見比べた。
それと同時に、力ない白い腕がピクリと動いた。
「龍、さま……?」
かすかに聞こえた少女の声に、すぐに踏み出した足の向きを変え、彼女たちのもとへと戻る。
うっすらと瞼を押し上げた少女は、オトメくんにむかってふっと笑いかけた。
「そんな顔をしないで……?貴方とお会いできて、本当に嬉しかったの」
細い指を、今にも震えだしそうなオトメくんの頬に滑らせる。
「…な、なにいってるんですか!」
思わず詰まった言葉。
怒鳴るように叫んでしまっていたオレに、少女は寂しげに困っていた。
かすかに動いた唇。
オレには「だいじょうぶ」と、言っているように見えたけれど……。
「わかったから、少し待って…!」
浴衣の裾を探る彼女の腕を、少女が遮る。
驚いた彼女に、少女はゆっくり首を横に振った。
「最後に…雪がみたかったなぁ……」
すでに半開きの瞳は、どこか遠くへと向けられていた。
どうにかできないのだろうか。
そんな歯がゆさが、オトメくんの背中からも感じられていた。
冷たいくらいの風は彼女をさらってしまうかのように、沈黙を呼び起こす。
だけど抗うように、突き破るのはやっぱり彼女。
「叶えてあげるわ」

