少し目を離していたのか、オトメくんも事の事態に気づいて慌てていた。

呆然としていたオレと目が合うと、何かを悟ったように彼女が近づいてくる。


「葵、あの子にどんなコトしたの?」



 ……はい?

 どうやらいつの間にか姿を消したのは、オレがなにかしでかしたからと結論づけているらしい。

トンデモナイ誤解だ。


「違う!オレは何も……っ」

 今までの経緯を話そうとしたときだ。

「葵ちゃん、男ならイイワケしないで!」

 まるで自分が被害者のように振舞う秋さんの行動のほうが、よっぽど意味不明だ。

言葉を挟めるヒマなんてないほど、この二人が畳み掛けてくる。


 勘弁してくれよっ!


 ポカンと途方にくれるオトメくんは、この際無視。

「ちょ、ちょっと、話をきけって…!」

とりあえず、やけにウルサイ二人をなだめなようと押し返そうとしたときだ。


 さきほどまで少女が座っていたベンチの前には、オレが貸したはずのスリッパ。

その上に白いナニカが置いてあったのだ。


 駆け寄って手に取ると、そこには宛名もない真っ白の封筒。

マシンガンのように激怒していた二人も、不思議そうにオレの手元を覗いてきた。


「なに、それ?」

 彼女の問いには答えず、悪いとは思いながらも、封すらされていない中身を抜き取る。


 そこには1枚の紙切れ。



 これは―……



「写真…?」