ドレスアップした秋さんに追いつくことは、何てことなかった。
ヒールをカンカン鳴らして走っていたので方向もわかっていた。
「秋さん…」
ぐしょぐしょに目元を崩した顔を隠すように、ずっと俯いていた。
とにかく人気のないところにと、簡易ベンチだけが置いてある小さな公園にむかった。
「…そんな気がしてたの」
ベンチに座ると、間もなくポツリと零した。
秋さんは意外にも落ち着いていた。
そっと差し出したハンカチは、アイメイクのせいか真っ黒にされていたけれど気にしていられない。
「なに弱気なことをいってるんですか」
オレに依頼するほど、彼を想っていたんだ。
そんな想いをあっさりと踏み潰したんだから、彼女の怒りはもっともだった。
「アタシってさ、昔から自分のことあまり好きじゃなかったんだ。
だけど彼は『秋さんを見てると元気になる』っていってくれたの」
大切な思い出を、夏風に流すように秋さんは空を見上げていた。
熱気を帯びていたそれは、オレたちの間を躊躇なく吹き抜ける。
「アタシがこんなんだからダメなのよね」
そういって、自分の体にふと視線を落とした。
「そ、そんなことないですよ!」
たとえ職業が水商売だろうと、誰かを想う気持ちに変わりはない。
思わず大きくなってしまった声に気づいて、咳払いをしてから話を続ける。
「たとえ誰であろうと『好き』ってキモチに偽りはないはずです。
オレは、言いたくてもいえなかった子を知っています…」
このときどうしてか、彼女を思い出した。
強いフリをして、時々…ほんとうにたまにだけど、弱々しくなって。
そんなところは彼女に似すぎている。
「言えるときに言わないで、いつ伝えるんですか!?それを逃したら…、後悔するのは秋さんなんですよ!?」
力がこもっていたのは、秋さんのためだって信じてる。
ヒールをカンカン鳴らして走っていたので方向もわかっていた。
「秋さん…」
ぐしょぐしょに目元を崩した顔を隠すように、ずっと俯いていた。
とにかく人気のないところにと、簡易ベンチだけが置いてある小さな公園にむかった。
「…そんな気がしてたの」
ベンチに座ると、間もなくポツリと零した。
秋さんは意外にも落ち着いていた。
そっと差し出したハンカチは、アイメイクのせいか真っ黒にされていたけれど気にしていられない。
「なに弱気なことをいってるんですか」
オレに依頼するほど、彼を想っていたんだ。
そんな想いをあっさりと踏み潰したんだから、彼女の怒りはもっともだった。
「アタシってさ、昔から自分のことあまり好きじゃなかったんだ。
だけど彼は『秋さんを見てると元気になる』っていってくれたの」
大切な思い出を、夏風に流すように秋さんは空を見上げていた。
熱気を帯びていたそれは、オレたちの間を躊躇なく吹き抜ける。
「アタシがこんなんだからダメなのよね」
そういって、自分の体にふと視線を落とした。
「そ、そんなことないですよ!」
たとえ職業が水商売だろうと、誰かを想う気持ちに変わりはない。
思わず大きくなってしまった声に気づいて、咳払いをしてから話を続ける。
「たとえ誰であろうと『好き』ってキモチに偽りはないはずです。
オレは、言いたくてもいえなかった子を知っています…」
このときどうしてか、彼女を思い出した。
強いフリをして、時々…ほんとうにたまにだけど、弱々しくなって。
そんなところは彼女に似すぎている。
「言えるときに言わないで、いつ伝えるんですか!?それを逃したら…、後悔するのは秋さんなんですよ!?」
力がこもっていたのは、秋さんのためだって信じてる。