「ブルー!何してんのよ!!」

 彼女…いや、ピンクの声にはっと我に返ると、先ほどの男の一人がオレに向かって走ってきていた。

「うっわぁぁあああ!!」

 飛び掛ってきたのを思い切り体を反って、ギリギリ避けると同時にピンクの叫び声。


「ニードル・サウザンド!」


 その瞬間、ヒュンっとオレの頬をかすめて飛び掛ってきた男に当たり、近くゴミの山に吹っ飛んだ。

「あ…あぶねぇ…っ」

 ツーと生ぬるい感触が頬を伝うから、ウィンドウに目をやる。

そこには赤く細い筋。


 …オレ、殺されるところだったのかも。

 背中には嫌な汗がひっきりなしに流れている。
にもかかわらず、脳内では

 『ニードル・サウザンド=針・千=ハリセン』ってことかよ!

なんて関係ないことでツッコんでいた。

「きゃぁあっ」

 意味不明なツッコミをしている間に、ピンクの悲鳴が響く。

「はる…じゃなくて、ピンク!」

 いちいち言い直す辺り、オレがこの現状に適応してきたことと思ってくれていい。


「ふっふっふ、コレで形勢逆転だな」

 彼女の両手を後ろでに捕らえた男。


 なんとかして、彼女を奪還しなくては…!


 そんな使命感にオレは燃えたぎる。