不安は否めなかったが、とりかくやってみることにした。

彼女がやったように携帯電話をそらにかざす。


「へ、変身……!」


 叫ぶと同時にまたもやパァッと辺りが光に包まれた。

すこし生暖かい感覚を覚えながらも、ゆっくり瞼をあける。


「ようやく、おでましね!」


 やりあってる彼女はちらりとオレをみてこぼす。

 店のウインドウに映るのは彼女と同じ全身スーツに、ヘルメット。唯一違うのは色だ。



 ………だが。



「おい、ちょっとまてよ……」

 己の震える手のひらを見つめる。


「普通、主人公なら赤だろうが!!」


 オレの全身の色は青。

いわばヒーローのライバル的なポジションで、裏切ったり、最後はヒーローをかばって命を落としたり。


 実は一番切ない役どころだ。


 なんだ、この扱いは!?

それともオレが主人公向きじゃないとでもいうつもりか!?