間違い電話だったのだ。

 戸井田はお腹が空いたので、ネットカフェを出た。

 外は真っ暗だった。

 午後九時だから当然である。

 また携帯電話がなった。

 間違い電話か?

 着信の履歴を見ても090なので、先ほどの間違い電話か判別がつかない。

 また、間違いだったら怒鳴ってやろうと、戸井田は思った。

「もしもし」

 戸井田は始めから怒り口調だった。間違い電話と予想してである。

「あの、肺世です。昨日、連絡先をもらった……」

「あっ、戸井田です」

「今、忙しいようでしたら、またかけ直しますけど……」

「いや、全然、ヒマですよ」

「そうですか」

「まさか、電話くるとは思ってなかったのでビックリです」

「あの、いきなり、連絡先をもらって、つき合うとかは、あれ何で……」