佐倉:『そうじゃなくて…何でここに来たの?今まで そんなこと無かったじゃない』
戸上:『まぁな(笑)じゃあ、取り敢えず 深夜のドライブにでも連れてけよ』
駅で会ってから 一度も目を合わせていない。戸上も 私の顔を見ようとはしなかった。車内には重い空気が流れる。
戸上:『…そんなに泣いたのか?』
佐倉:『え?』
戸上:『瞼…随分腫れてるな…。本当 悪かった』
佐倉:『ううん…悪いのは私だから』
見晴らしのいい場所で車を止めたが、車の窓を雨粒が滑り落ちる。ぎこちない雰囲気のまま二人で缶コーヒーを飲む。すると戸上が話を口を開いた。
戸上:『…俺、お前が離れて行くなんて思いもしなかったよ』
佐倉:『…』
戸上:『何したってどうなったって、いつでも側にお前が居てくれるって…勘違いしてた(苦笑)』
いつになく弱々しい言葉を 溜息混じりに呟いた。