佐倉:『それに…ここまで来たのだって、大ちゃんにちゃんと逢って ちゃんと納得したかったからだし』
戸上:『納得?』
佐倉:『そう。電話から聞こえる声は、この人なんだ!って…ちゃんと逢って、 納得したかったんだ』
戸上:『そっか。…で、どぉだった?実際逢ってみて』
佐倉:『…ん…。思ったより濃い人だった。』
戸上:『濃い?』
佐倉:『性格も…顔もね(笑)』
戸上:『何だよそれ』
佐倉『…ホントは…本心は…私も大ちゃんの事が好きみたい』
戸上:『…えっ…』
佐倉:『だからここまで来たんだもん。嫌いな人の所になんか行く人はいないでしょ?』

戸上は目を丸くした。
佐倉:『あぁ〜あ…言うつもりはなかったんだけどなぁ…』
戸上:『お前、案外 単純なんだな(笑)』
佐倉『なにそれ?!一言余計なんじゃない?』

視線を上げると 窓からは静かな闇が、ぼんやりと空を明るく霞めていた。
戸上:『…もう朝か。あぁ〜…こんなに人と話したの久しぶりだよ(笑)なんかコンビニまで買いに行くか?』

夜明けの街並みを並んで歩く。二人が『恋人へ』と歩を進めた夏の始まりは 眩し過ぎて、苦しくなる程だった。