結局母は一度もお見舞いに行けないまま 一週間が経った。 私は3日に一度ほど、 兄のお見舞いに行っている。 「母さん、どうしてる?」 今日も兄の部屋につくと 唐突に兄が聞いてきた。 重体の息子に一度も会いに来ない母 兄は兄で、母になにかしら 感情を持っているようだった。 「お母さんは、忙しいから。」 『政宗っ!!政宗っ!!』 兄が入院した日、 兄を呼ぶ母の声が頭をめぐる。 私はあえて、兄に言わなかった。