「ちょっと早かったかなぁ……」
高校生活1日目。渋滞に捕まるだろうと予想して乗ったバスは、予定よりも早くついてしまった。
「どうしよ……」
小さくため息をつくと、俺は学校の裏手へと向かった。
そこには1本だけ桜の木があって、時間を潰すにはちょうどいい場所だった。
「あれ?」
誰もいないだろうと思っていたのに、そこには先客がいた。
俺の声に振り返った先客に、思わず息を飲んだ。
かわいい……と思わず言いそうになったが、その人が自分と同じ学ランを着ていることに気がついた。
「なんだ、男か」
「は?」
それが、彼との出会いだった。