「あの、ここにいた人々は皆、人間版『無』の世界へと旅立ったんですか?」 泣きそうな声で、梓が問い掛ける。 「はい。五月十七日になると同時に」 「そうですか」 ぎゅっと唇を噛み締める。 もう泣かない、と決意するかのように、強く、強く。