死神の嘲笑

「私から自分の運命を聞いた人々は、必死に記憶を消そうとするんです。その道具として、私はサーカスにありそうなものばかりを用意しました」

「余程の空腹時には嫌いなものでも食べてしまう、という話と同じようなものですね」

低い声で、臨が口にする。

「はい。そして、私や私に選ばれた人々の命がある最後の日、つまり、明後日に『サーカス発表会』でもしよう、と考えていました」

「そこで、健太に玉乗りをさせるつもりなんですか?」

勢いよく梓が問う。

「その予定でした。しかし、あなた方の様子を拝見して、私は自分が愚かだと気付いたんです」

ふっと死神は口元を緩めた。