死神の嘲笑

「『無』の世界。そこで、死神は言葉通り『無』となるんです」

「仰ることがよく理解できません」

訝しそうな声の友弥。

空気が読めない、と誰かが咎めれば良さそうなものだが、他の三人にも好奇心が存在している。

「『無』の世界で、死神は全てが失われるんです。肉体も、骨も……」

「そ、それなら骨だけでも残る死神のほうがましではありませんか?」

呟くように、朱理が尋ねた。

「ええ。今では私もそう思います」

死神の声には、自嘲的なものが含まれていた。