死神の嘲笑

五月上旬であったその日、臨は朝から佐原と共に『現場』へ向かう予定だった。

『現場』とは職場と異なる場所へ向かうことで、そこで機械の点検や、故障中の機械を修理する。


しかし――。

「栗原君、何度言えば分かるんですか。書き直してください」

「申し訳ありません」

何度同じやり取りを交わしたことだろう。


森田はなかなか臨の書類に判を押してくれなかったのだ。

『現場』へ向かう時間は、とっくに過ぎていた。